Kiramune Presents READING LIVE「天穹のラビアス」劇中用語解説

旧立川地区

リーディングライブ東京会場がある東京都立川市をイメージした、物語の舞台。

旧立川製作所

旧立川地区と、実在の「日立製作所」(旧の右側の"日"および立川の"立")のオマージュから命名されたと推測される。

N.A.O.(Noire Annihilation Organization)

ノワール殲滅組織。

ジンライザー(GINLISER)

対ノアール用人型戦闘兵器ヒューマノイド・アーマーの日本開発機。
劇中世界における人型機発展の理由付けは、人道的観点からの完全自律型兵器の戦場投入の禁止により有人機の開発が進んだことと、大戦後のノアール対策への実用化とされている。
(「機動戦士ガンダム」(1979年)の「ミノフスキー粒子による精密誘導兵器の無効化により、有視界戦闘に適したMSが発展した」に端を発し、「ロボットアニメ劇中における人型搭乗ロボットの有用性の理由付け」はロボット作品の命題ともいえる)
ヒューマノイド・アーマーは共通規格が存在するものの、日本製のジンライザーのみ、独自技術により高速化・高軌道化がされている設定が用いられている。
(「ワンオフ機が量産型よりも優れる理由付け」もまた、ロボット作品の命題である)
射弦八雲が搭乗するジンライザーの他、日野未来が搭乗する練習機、住良木星螺が搭乗するラビアス、朔守英雄が搭乗するプロトタイプ(通称・ゼロ)など、バリエーション機が存在する。
なお、今回のリーディングライブの演目が公開された際、公式サイトに「天穹のジンライザー」という記載があり(のちに「天穹のラビアス」に修正)、仮題が「天穹のジンライザー」であったことが想像される。

ゼーベック虫(-ちゅう)(Seebeck insect)

地球の地下数10キロメートル以下の深部において、地球全体を覆うように繁殖している嫌気性微生物。
体長数マイクロメートル。地熱から「ゼーベック効果」により電気を発生させ、体内に電気エネルギーを蓄えている。
劇中では地球を覆うゼーベック虫はネットワークを形成しており、情報連携がなされていると思われる描写がある。
著名なロボット作品でも、水島精二スーパーバイザーが監督を務めた「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」(2010年)の外敵「ELS(Extraterrestrial Livingmetal Shapeshifter、地球外変異性金属体)」や、「マクロスF(フロンティア)」の敵生物「バジュラ」などで、個体ではなく全体として自我を共有する敵が登場する。

ゼーベック効果(Seebeck effect)

ゼーベック虫の特色である「ゼーベック効果」は劇中設定ではなく実際の化学現象で、物質の両端で温度差が発生すると比例して電圧が発生する現象。

ゼーベック・セル(Seebeck cell)

ゼーベック虫を容器に封入し、体内に蓄えた電気エネルギーを利用したバッテリーとして運用したもの。「セル」は実際にも電池の構成単位として用いられる用語。
第四次世界大戦で多用されたメルトによって地殻が大きく変容するほどの被害があったが、皮肉にもメルトの破壊力がゼーベック虫の発見に寄与し、クリーンエネルギーの獲得によるエネルギー革命に繋がっている。
「原理を理解しないままエネルギーの恩恵を受ける報い」は、現実の原発問題への風刺が込められていると想像される。
ロボット作品では「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」(1992~1998年の長期OVAシリーズ)に「完全無公害・完全リサイクル可能な夢のエネルギー源」として「シズマドライブ(および、シズマ管)」が登場しており、本設定に大きく影響していると推測される。

ノワールNoir

フランス語で「黒」。
劇中では、通常、ネットワークを形成し自我を共有しているゼーベック虫のうち、群体を離れ独立した生命体のように独立して移動する個体。
ゼーベック虫に触れた人間の脳内シナプス(電気信号)が、ゼーベック虫のネットワークに転写されることで発生する。
肉眼では視認できるが、カメラ等を通して見ることは出来ず、熱源であれば感知できる。
消滅の際は体内の電気エネルギーを熱エネルギーに変化させ(スピンペルチェ効果)、バラバラに分解されるため、死体が残らない。
「見えない敵」は小説「エンダーのゲーム」(オースン・スコット・カードSF小説、1977年短編発表、1985年長編化・出版)に着想を得、映画「プレデター」(1987年、監督:ジョン・マクティアナン、出演:アーノルド・シュワルツェネッガー)をイメージしている。

第四次世界大戦(World War IV)

劇中で「大戦」と称される戦争。この争いの中で超大規模破壊兵器「メルト」が多用されたことにより、大きく抉られた地形から新種の嫌気性微生物「ゼーベック虫」が発見されることとなる。
現実から地続きの未来であることを想起させる。
機動戦士ガンダム00」(2007年)の劇中設定において、ガンダムシリーズ初の「西暦」を用いたのと同様の効果を狙ったものと推測される。

メルト(melt)

溶ける、溶かす、解凍する。原子炉の重大事故であるメルトダウン炉心溶融)を想起させるための命名と推測される。
劇中では第四次世界大戦で使用された超大規模破壊兵器(原爆を利用せず純粋水爆起爆剤とした兵器)を指す。

ガイア(Gaia)

ギリシャ神話に登場する大地の女神。実在の科学者ジェームズ・ラブロックが提唱した仮説に、小説家ウィリアム・ジェラルド・ゴールディングが「ガイア仮説」と名付けたことに由来する、同理論における地球の呼称。
劇中では「ガイア仮説」を元に、地球を覆うゼーベック虫の群れを脳内神経ネットワークに準え、地球そのものを自意識を持つ知的生命体として「ガイア」と呼称している。

ガイア仮説(Gaia hypothesis)

劇中設定ではなく、実在のイギリスの科学者(生物物理学、医学)・ジェームズ・ラブロック(1919-2022)が1960年代に提唱した理論。
地球と生物が相互に影響しあうことで、地球が自身の生存に適した環境を維持するための自己制御システムを作り上げているとする仮説。
フィクションの世界でも「人間は地球という一つの生命体における異物(もしくは癌)」といった表現がされることが多々ある。
ロボット作品からは離れるが、格闘ゲームTHE KING OF FIGHTERS」シリーズ(1994年~)の「オロチ編」のストーリーでは、オロチと呼ばれる地球意思が、人類が自然の摂理に反することで発生する平衡感覚を取り戻すため、人類の淘汰を目的として復活する。

エリアA、R、I、C、J(Area A/R/I/C/J)

それぞれアメリカ、ロシア、インド、中国、日本をイメージしていると推測される。
なお、劇中では第四次世界大戦でのメルトの乱用により大陸ごと消滅した国があるとされており、ヨーロッパ大陸がそれに当たる思われる。
創作物において実在の大国をイメージした国・共同体は「アメリカ」、「ロシア」、「中国」、「EU」が代表的だが、「インド」が登場しているところに時代性を感じる。
(参考として、2023年現在の人口ランキングは、1位インド、2位中国、3位アメリカ)
機動戦士ガンダム00」(2007年)でも、世界はアメリカをイメージした「ユニオン」、EU欧州連合)をイメージした「AEU」、ロシア・中国など旧共産圏をイメージした「人類革新連盟」の三大国家群による冷戦状態を描いている。
またサンライズ制作のロボットアニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」では、超大国「神聖ブリリタニア帝国」の植民地となった日本「エリア11」を舞台とする。

ラビアータ・システム(Labiata system)

機械の制御系と操縦者の神経をダイレクト接続するシステム。
クラゲの一種である「オーレリア・ラビアータ(Aurelia labiata)」、および蘭の一種である「カトレヤ・ラビアタ(Cattleya labiata)」からの命名と推測される。
実際の脳の神経細胞ニューロン)の研究にクラゲを用いていることが由来と思われる。

ビアス(Labias)

対ノアール用人型戦闘兵器ヒューマノイド・アーマー・ジンライザーの新型機に付けられた機体名。
ラビアータ・システムからの命名


引用元:
READING LIVE「天穹のラビアス」パンフレット
https://official-goods-store.jp/kiramune/v2/product/detail/KRM651